今回の記事では、
・心理学って何を学ぶの?大学で心理学を学ぶ意味はあるの?
こういった疑問にお答えします。
この記事を書いている僕は、心理系大学院に在籍しています。
心理学は心を科学する学問
心理学は心についての科学的研究を目指す学問です。元は哲学から分化しました。
現代心理学の創始者はヴントという人物で、心理学を哲学から分離させ科学として成立させたことで有名です。
ヴントは内観法という方法を使い、心に浮かんだイメージを要素に分解し、その目録をつくることで心の中を客観的に見ることができると考えました(要素主義)。
これが現代心理学の始まりです。心を主観的なものではなく、客観的に捉えようとする試みが心理学の始まりだといえます。
詳しくは東京大学出版の『心理学』がおすすめです。
このテキストによると、心理学の目標は人間のこころの理解とそれを人類の福祉に生かすことです。これはまさにそのとおりでしょう。
たとえば、心理学の一分野である臨床心理学は、心理学の基礎研究を応用したものですが、精神疾患の理解やその支援に役立てられています。
以上のことからも心理学は、人類の福祉に寄与する学問だといえます。
大学で学ぶ心理学
大学生と大学院生を対象に書かれた心理学の定番テキスト『新版 心理学』では、心理学の代表分野として認知心理学・学習心理学・発達心理学・社会心理学・臨床心理学・産業心理学などが取り上げられています。
実際、大学ではこれらの分野を網羅的に学ぶため、
・大学で学べる心理学=認知心理学・学習心理学・発達心理学・社会心理学・臨床心理学・産業心理学
と考えれば良いでしょう。
例えば、認知心理学は人間を情報処理モデル(コンピュータのようなもの)に見立てて、そのプロセスを検討する学問です。
また、産業心理学では労働者の心理や企業組織の心理などが研究されています。
このように一口に心理学と言ってもその幅はとても広いものです。共通しているのは人間の心の理解とその応用だという点です。
もちろん網羅的といっても学部レベルでは触り程度で、実際には大学院で自分の興味がある専門分野を学ぶことになります。
僕の場合は臨床心理学を専門にしているコースにいるので、主にメンタルヘルスについてその理解や支援の方法を学んでいます。
心理学を学んだ後の進路
心理学を学んだ後の進路はさまざまですが、大学卒の場合は概ね次の進路になります。
①一般企業に就職
②心理系公務員に就職
③大学院進学
多くは①になると思います。心理学を専門とした仕事に就くためには大学院修了が基本となります。
そのため、大学卒では心理職は普通公務員しかなく、心理学を活かせる一般企業に就くというのが一般的です。
参考までに、僕と同じ院生のある男子学生に大学時代の話を聞いてみたところ20人中15人程度が一般企業に就職したそうです。
残りは大学院受験をして心理職を目指したそうです。
心理学を学ぶ意味はない?
ここまでの話を聞くと心理職に就けるわけでもないのに「大学で心理学を学んでも意味ないんじゃないの?」と疑問に思われるかもしれません。
確かに心理職に就くという意味では大学で心理学を学んだからといって特段意味があるわけではないでしょう。
しかし、これだけうつ病などの精神疾患が蔓延している時代に心理学を学んでいることは、どこで働くにしてもプラスでしかありません。
自分のためにも家族など周りの人のためにも。
特に企業でのメンタルヘルスの問題は深刻ですから、一般企業で働く人ほど心理学を学び、自分の心をいつでも守れるようにしておくことは必須だと思います。
そう考えれば心理学を学問としてきちんと修めて社会に出ることはメリットあることだと言えます。
というわけで今回は以上です。