自己中心的思考はなぜ問題か?2つの心理学的解決法を紹介

生徒
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自己中心的思考は一般社会では嫌がられるけど心理学的にはどうなんだろう?

こういった疑問にお答えします。
この記事を書いている僕は心理系大学院に在籍しています。

自己中心的思考はなぜ問題なのか?

一般社会において自己中心的な人は問題になります。

しかし、一般的に問題になるという以上の問題があります。それは自己中心的だと精神状態が悪くなり、社会的にも孤立する可能性が高まることです。

自己中心的思考が問題となる理由について、4つほどその根拠となる例を挙げたいと思います。次のとおりです。

①アドラー→神経症者のライフスタイル
②メタ認知療法→自己焦点化
③ガイ・ウィンチ→孤独は喫煙と同リスク
④IPT→孤立環境で人はうつ病になる

それぞれについて解説します。

 

①アドラー→神経症者のライフスタイル

まず前提としてアドラーは時代背景もあり、比較的厳しいことを言っています。そのあたりを踏まえて読み進めてください。

アドラーは自己中心的思考の問題について、著書『個人心理学講義』の中で言及しています。彼は神経症者のライフスタイルは自己中心的であると述べています。ちなみにライフスタイルとは性格に近い意味で、厳密には個人の生き方のことです。

自分ばかりに意識が向き、他人に協力したり、他者貢献したりする視点がないというわけです。そのため、アドラー心理学では神経症的ライフスタイルの人には勇気づけにより他者貢献をさせるなどしてライフスタイルの変容を促します。

②メタ認知療法→自己焦点化

メタ認知療法とはウェルズが提唱した心理療法です。主にうつ病などの精神疾患に効果があります。

このメタ認知療法の訓練技法の1つにATT(注意訓練技法)があります。これは音を使った訓練法で、単一の音、切り替わる音、複数の音などに意識を向けることで自己焦点化を減少させる効果があります。

このようにメタ認知療法においても自分への注意の向きすぎ、自己中心的思考を問題と捉えていることがわかります。

③ガイ・ウィンチ→孤独は喫煙と同リスク

アメリカの臨床心理士であるガイ・ウィンチは自身の著書の中で、孤独が健康にとって喫煙と同リスクであるという研究を紹介しています。

初めにお伝えした通り、自己中心的思考に陥っている人は社会的に孤立する可能性が高まります。そして、この孤立には喫煙と同程度の健康リスクが実際にあるのです。

なので、自己中心的思考を持つことはやはり実際にリスクを伴うのです。

④IPT→孤立環境で人はうつ病になる

うつ病治療に強いエビデンスを持つIPT(対人関係療法)は4つの焦点化領域を持っています。この4つの領域はうつ病が発症しやすい文脈を科学的に検証して選び出されたものです。

その中の1つに「対人関係の欠如(社会的孤立)」があります。つまり、社会的孤立はうつ病と明確に関連があるということです。

③と同様、自己中心的思考が加速し、社会から孤立するとうつ病などの精神疾患に罹患するリスクが高まります。

 

以上、4つの知見を紹介しましたが、これだけでも自己中心的思考がいかにリスクであるかということはわかっていただけたと思います。

では、この自己中心的思考をどのように解決していくのか?という点をお伝えします。

自己中心的思考を解決する2つの方法

解決するためには2つの知見を利用します。1つ目はアドラーの個人心理学です。もう1つはメタ認知療法のATT(注意訓練技法)です。

①個人心理学

アドラーが創始した心理学はアドラー心理学と呼ばれていますが、正式名称は個人心理学です。

この個人心理学において、アドラーは神経症的ライフスタイルを持っている人には、自分から協力を打ちだす姿勢が必要だと述べています。

神経症的ライフスタイルを持っている人は、自己中心的思考に陥っているため、「もし自分が協力しようとしたって相手が拒否する・・・」とか「協力したい気持ちはある、でも・・・」といって他者と協力することを避けようとしがちです。

実際、アドラーは「もし〜ならば・・・」「はい、でも・・・」という言葉に注意するように言っています。

自分から他人に貢献する行動を1日一回でいいから取る。この繰り返しで徐々に自己中心的思考から抜け出していくことができます。

また、経験(特に仕事)を通じて他者と関わり、困難でも乗り越えられるという感覚を養うことも大切です。これをアドラーは「勇気づけ」と呼んでいます。

他者貢献と経験を積むことで自己中心的思考は改善されます。

 

②ATT(注意訓練技法)

先ほどお伝えしたとおりATTは音を利用して自己焦点化を緩和するトレーニングです。

実際は様々なタイプの音を聞くのですが、ここでは簡単に身の回りの複数の音に全意識を集中させることだと考えてください。

あなたがもし部屋にいるならエアコンの音や時計の音、外の車の音など聞こえてくる複数の音に注意を向けましょう。

この訓練を続けることにより、外に意識を向け、自分に意識が向きすぎないようにすることができます。

自己中心的思考の緩和ですね。ATTはあくまでトレーニングなので毎日5分でも良いので継続することが大切です。

どんな姿勢でも行えるので毎日時間を決めて取り組んでみましょう。徐々に自己中心的思考が改善されていきます。

 

というわけで、今回は以上です。

 

参考文献

アドラー.A 『個人心理学講義 』

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熊野宏昭『新世代の認知行動療法』

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