心理学の専門家になるためには大学院進学が必須です。
しかし、心理系大学院は倍率が高く、それなりの勉強が求められます。
そこで、今回は心理系大学院に在籍する僕が合格のために実際に使用した参考書と勉強方法をの紹介します。
これから大学院受験を考えている方は参考にしてみてください。
心理系大学院の試験
心理系大学院の試験内容はそれぞれの大学院によって変わりますが、概ね以下の内容になります。
・研究計画書の提出
・専門試験(心理学)
・英語試験
・面接試験
このうち今回は「専門試験」「英語試験」に使用した教材を紹介します。
専門試験(心理学)
基礎心理学・臨床心理学・心理学統計などが出題されます。これらの分野を勉強しておく必要があります。
それぞれについてのオススメ参考書を紹介します。
『心理学 第5版』
基礎心理学を学ぶならこの本です。網羅的であり内容がしっかり担保されています。
院生のクラスメイトでも受験勉強に使ったという人が結構いる参考書です。
トピックごとにノートにまとめるなどしていたようです。僕自身は読んで暗記したという感じです。
『よくわかる臨床心理学』
臨床心理学についてはこの参考書で勉強するのが良いでしょう。大学院の授業でも使用されることが多い本です。見開き毎に内容がまとまっており外欄に参考文献が記載されています。最低でもこの参考書に記載されている内容は丸暗記しておきましょう。
『統計分析のここが知りたい』
統計は多くの人が苦手な分野です。僕自身も統計については受験で初めて勉強しました。この本は初学者にも一からわかりやすく解説されています。文系の人でもとっつきやすい内容になっているのが魅力だと思います。
『公認心理師・臨床心理士大学院対策 心理学編』
基礎心理学・臨床心理学について総合的に要点がまとまっています。受験会場で持っている人がたくさんいたので、どうもこの本で勉強している方が多いようですね。院生でもこの本で勉強したという友達は多いです。やり込んでおきましょう。
いうまでもなく過去問はもちろんやりましょう。
英語試験
英語試験では英語論文の和訳問題などが出題されます。ヒルガードの心理学の英語版など書籍からの出題も見られます。英語が苦手な人は最低でも大学受験レベル(偏差値60くらいが目安)の勉強はしておいてください。その上で以下の参考書で勉強しましょう。
心理院単
いくら英語ができても心理学特有の英単語を知らなければ問題を解くことができません。そのため、この単語帳で心理英単語は押さえておきましょう。
ヒルガードの心理学 英語版
ヒルガードの心理学は世界で最も教科書として用いられている本です。基礎心理学を網羅的に学ぶことができるので本としてもオススメです。この本があれば英語試験の勉強も基礎心理学の勉強も合わせてできます。日本語版と照らし合わせながら理解していくと効率が良いです。
英語版
日本語版
『公認心理師・臨床心理士大学院対策 心理英語編』
僕は使っていませんでしたが、院生の友達はよくこの参考書を使っていたそうです。
試しに購入してみましたが、初学者に易しい構成になっていると感じました。
英語試験の過去問も必ず勉強しておきましょう。
試験勉強の方法
以上が使用教材ですが、ここからは具体的な勉強方法についてお伝えします。
結論をいうと、僕は以下の5つの原則を守ってしました。なお、前提として、使用する参考書は基本丸暗記するというのを目標にして勉強していました。
・インプットよりアウトプット
・時間対効果を常に意識する
・一冊の参考書を徹底的に勉強する
・精緻化リハーサルで丸暗記する
・形から入る
✔︎インプットよりアウトプット
心理系大学院の試験に限らず、勉強の鉄則はアウトプット重視型で勉強することです。これは脳が入力よりも出力を重視する器官だからです。
わかりやすくいうと、参考書よりも問題集に重きをおいた勉強をすることが大切です。
ただ、心理系大学院試験の教材の場合、問題集はあまり良いものがないので参考書を使って勉強することになります。
参考書の内容をいかにアウトプットするかが重要になります。
・ノートにまとめる
・声に出して解説する
・音声で収録する
など
とにかく学んだらすぐに知識を自分の外側に出していくことが大切です。
ひたすらアウトプットしましょう。
✔︎時間対効果を常に意識する
時間対効果とは特定の時間の中でどれだけ成果が上げられるかのことです。具体的には何時間勉強したかではなく、どこまで勉強したかを重視するということです。
(勉強の質が同じであれば)7時間で30ページ勉強した人より7時間で50ページ勉強した人の方が時間対効果は高いです。何時間勉強したかではなく、何ページまで勉強できたかを重視しましょう。
この時間対効果を常に意識することで効率よく勉強ができます。
✔︎一冊の参考書を徹底的に勉強する
これもやりがちなのですが、とにかく参考書を豊富に揃えてしまう人が多いです。
参考書は各分野1冊(多くても2冊)に絞りましょう。
参考書は何冊やったかではなく、同じものを何周やったかが重要です。
一冊を徹底的にやりこみましょう。
試験の時にはボロボロになっているくらいがベストです。
✔︎精緻化リハーサルで丸暗記する
精緻化リハーサルとは短期記憶を長期記憶化するための方法です。
短期記憶とは数秒程度保持される記憶で、長期記憶は理論上無限に保持される記憶です。数秒で消える短期記憶よりずっと残る長期記憶の方が良いですよね。
勉強ではいかにこの長期記憶を利用するかが重要です。
そのための方法が精緻化リハーサルなのです。
精緻化リハーサルは「腑に落ちる」「納得する」という深い理解によって生じます。「あ、なるほど!」という感覚ですね。
時間はかかりますが、一つひとつの概念を納得するまで調べる。
字面だけではなく、
この概念が「どのような背景で生まれたのか?」「どのように利用されているのか?」など丁寧に勉強していきます。自分の中にある知識体系と新たに学ぶ概念に関連を持たせていきます。
この作業を参考書で行えば、一冊丸まま暗記することができ、しかも学んだ知識は長期記憶化するので忘れません。参考書を絞った方が良いというのは、この精緻化リハーサルをしやすくするためにも必要なのです。
✔︎形から入る
試験勉強を続けていると「やる気が続かない」という問題が起こってきます。そこで、最後にやる気についてお伝えして本記事を終わりにしたいと思います。
まず「やる気が出たら勉強しよう」という考えは間違いです。
やる気は待っていても生じないからです。もしあなたがこういう考え方を持っているなら今すぐ捨ててください。
やる気は形から入らなければ出てきません。
大切なのはやる気があろうがなかろうが、とりあえず手を動かすことです。
やる気に関わる脳の部位は側坐核と呼ばれます(厳密にはVTA、淡蒼球なども)。
この側坐核は形から入らないと活性化しにくいことがわかっています。
あなたにも「ちょっとだけ部屋の掃除をしようと机を拭いていたら、いつの間にか部屋中掃除していた」という経験があるかもしれません。
これはまさに側坐核の性質なのです。
「とりあえず行動→やる気が出る」
という原則を覚えておいてください。
やる気が出なくても「1ページだけ読んでみようか」「1問だけ解いてみようか」と思って形から入ってみてください。やる気は必ず後からついてきます。
というわけで、今回は以上です。