[word_balloon id=”2″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” balloon=”talk” balloon_shadow=”true”]人間関係って面倒ですよね。
できれば誰とも関わらないで生きていきたいけど健康的にも心配だな。
本当のところを教えてくださいな。[/word_balloon]
こういった疑問にお答えします。
社会的結びつきは心と身体に影響する
結論からいうと、健康であるためには他の人とのなんらかの結びつきが必要です。
人間は何かに属しているという感じが必要だということです。
人間性心理学の創始者マズローは、人間の欲求について欲求階層説を唱えました。
この欲求階層説においても所属欲求が組み込まれており、その重要性がわかります。
<マズローの欲求階層説>
①生理的欲求
②安全欲求
③所属と愛情の欲求
④自尊の欲求
⑤自己実現欲求
※①が最低次の欲求、⑤が最高次の欲求。「①が満たされる→②の欲求が生じる」という順で⑤まで。
つまり、社会的交互作用(結婚しているか?、家族や友人との交流があるか?、所属しているグループ数など)が心と身体の健康にとって重要だということです。
とはいえ、「本当に?」と思われる人もいると思います。
そこで、他の人となんらかの結びつきが健康に影響するという根拠も示しておきます。
・孤独は喫煙と同程度の健康リスクがある(ウィンチ, 2013)
・社会的相互作用(結婚しているか?、家族や友人との交流があるか?所属しているグループ数)の度合いが低い人はそうでない人に比べて死亡率高い(カバットジン, 1990)
※ちなみにアルコール、喫煙など他要因を考慮してもなお高くなることがわかっている
では、どうすれば予防できるのでしょうか?
もちろん、社会的相互作用の度合いが高ければ予防できるわけですね。
人と関わるのが苦手でも社会的繋がりを保つ方法
しかし、「そうはいっても自分は人と関わるの苦手…」だと感じる人もいるでしょう。
なので、人間関係を新しくつくったり、過去の人間関係を見直すといった方法以外で考えてみたいと思います(本当はこれが一番なのはいうまでもありませんが・・・)。
結論をいうと、以下の2つです。
・動物と関わる
・植物と関わる
動物と関わる
過去のオハイオ大学での研究によって動物と暮らすことが、社会的相互作用の代わりになる可能性が示唆されています。
研究室の棚の低い位置に置かれた兎は、高い位置に置かれた兎よりも心臓疾患のリスクが低かったということが研究で示されています。
このような現象が生じた理由として、よく人間に触られているからではないかと考えられています。
動物は社会的繋がりを人間との触れ合いの中に感じているのでは?という仮説です。
このことは逆も言えると考えられます。
つまり、人間と動物の関わりは人間の健康にとっても良い影響をもたらすのではないか?という説です。
実際、心理療法の中には動物介在療法というものがあります。
主にセラピー犬などを用いて、子どものトラウマケアに使われます。
人と関わるのが苦手で社会的な繋がりがあまりない・・・と感じる人はペットを買ってみてはどうでしょうか?
植物と関わる
同じく植物との関わりが社会的繋がりに近い効果をもたらす可能性も示唆されています。
あるサナトリウム(長期療養施設)で行われた研究では、患者に植物の世話をさせた群と植物の世話をさせなかった群ではその後の生存期間が変化したという驚きの結果が出ています。
具体的には、植物の世話をさせた患者の方がそうでない患者より長生きでした。
この研究結果は、管理の裁量が与えられたことと長生きに関連があるのではという考察がなされています。
しかし、一部の研究者は植物との結びつきが患者を長生きさせる結果に結びついたのではないか?と考察しています。
このように植物と関わることは、社会的な結びつきに繋がり、心身の健康に影響を与える可能性があります。
人と関わるのが苦手で社会的な繋がりがあまりない・・・と感じる人は植物の世話をしてみてはどうでしょうか?
今回の参考文献
J. カバットジン『マインドフルネスストレス低減法』
マインドフルネスストレス低減法について解説された専門書です。
今回の記事は主にこの書籍の内容を参考にしています。
マインドフルネスについて詳しく記載されていることはもちろんですが、私たちの心がいかに身体に影響するかについての研究も記載されている良書です。
ガイ・ウィンチ『NYのセラピストが教える 自分で心を手当てする方法』
心理学の研究に基づいたすぐに役立つ心の手当ての方法が色々と紹介されています。
本ですがセラピーを受けているように感じられる良書です。
著者がれっきとした心理学者であること、巻末にしっかりと文献が記載されていることも評価できます。
というわけで、今回は以上です。