[word_balloon id=”2″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” balloon=”talk” balloon_shadow=”true”]アタッチメントってどういう意味だろう?
アタッチメントがうまく形成されないといろいろ問題が生じるって本当?[/word_balloon]
こういった疑問にお答えします。
アタッチメントとは?
アタッチメントは特定の対象(多くは母親)に対する特別な情緒的結びつきのことです。
アタッチメントの日本語訳が「愛着」です。
アタッチメントという用語は、イギリスの児童精神医学者ボウルビィが提唱しました。
彼は精神分析についても深く学んでいたようです。
たとえば、生後半年くらいの子どもは、母親以外の人が部屋から出て行っても泣かないのですが、母親が部屋から出ていくと泣きます。そして、母親が帰ってきて抱くとピタッと泣き止みます。
これは子どもが母親に対して特定の感情を持っている表れだと考えられています。この結びつきがアタッチメントと呼ばれ、アタッチメントの形成がうまくいかないとその後、様々な問題を抱えることになります。
愛着の発達段階理論
ボウルビィは子どもの母親へのアタッチメントの発達を4段階に分け、これらの段階を経てアタッチメントが形成されていくと考えました。具体的には、以下の4つの段階です。
①人に関心を示すが、人を区別した行動はみられない
②母親に対する分化した反応がみられるが、母親の行動に対して泣くといった行動はまだみられない
③明らかにアタッチメントが形成され、愛着行動が活発な状態
④愛着対象との身体的接近を必ずしも必要としなくなる段階
簡単に整理し直すと以下のような段階を踏むわけです。
①母親と他人を区別していない段階
②母親と他人の区別がぼんやりついてくる段階
③母親が明確に特別な対象となり、いなくなると泣くなど愛着行動が見られる段階
④母親に抱かれるなど身体的接触がなくても問題がなくなる段階
このようにしてアタッチメントは形成されていきます。
また、ボウルビィはこのようなアタッチメント形成段階において、子どもは同時に他の対象に対してもアタッチメントを広げていくと考えました。
ストレンジ・シチュエーション法
ここまで説明してきた愛着の発達段階理論は、あくまで健全なアタッチメント形成の場合です。
実際には発達の最中に様々な問題が生じ、うまくアタッチメントが形成されないこともしばしばあります。
そこで、アタッチメントの質を測定するためストレンジ・シチュエーション法というものが開発されています。
ストレンジ・シチュエーション法はエインズ・ワースによって提唱されました。
実験手続きは次のとおりです。
1歳未満の乳児が母親と実験室に入室し、見知らぬ人物と会います。その後、母親は乳児をこの見知らぬ人物にあ預けて、部屋の外に出ます。そして、その後、母親は部屋に戻ってきます。
このときの乳児の反応別にA群・B群・C群・D群に分類されます。
まず、B群(安定型)は母親との分離で泣き、再会では身体的接触を求める安定したアタッチメントが見られる群です。
次に、A群(回避型)は分離で泣かず、再会でも母親を避ける不安定群です。
そして、C群(アンビバレント型)は分離では激しく泣き、再会場面では身体接触を求めるが、同時に怒りを示して暴力をふるうこともある不安定群です。
エインズ・ワースはこの3群の分類を行った学者です。
近年は、接近と回避を繰り返すD群(無秩序・無方向型)も見られます。
このようにストレンジ・シチュエーション法を使うことでアタッチメント形成の質を測定することが可能です。
愛着障害
アタッチメントの形成に失敗すると、いわゆる愛着障害が出現することがあります。
特に被虐待児には愛着障害が見られることが多いです。
一般的に愛着障害と呼ばれる障害は専門的には「心的外傷およびストレス障害群」とよばれる群の中の「反応性アタッチメント障害」と「脱抑制型対人交流障害」に当たります(DSM-5)。
簡単にいうと、「反応性アタッチメント障害」の子どもは養育者に対して最低限のアタッチメント行動しか見せません。
一方、「脱抑制型対人交流障害」の子どもは、見慣れない大人にも馴れ馴れしく接してしまいます。
このような障害の根底にはアタッチメントの問題があると考えられています。
愛着については↓の記事にも書きましたので、合わせて参考にしてください。
【記事】【愛着の心理学】ボウルビィの愛着理論と愛着障害とは?
というわけで、今回は以上です。