心理学を学んでも意味はない?
ネットで検索すると、
「心理学は意味がない」「何の役にも立たない」
といった主張の記事を目にします。
これらの記事を見て「心理学を学ぶのをやめようかな?」と考えた人もいるかもしれません。
本記事では「心理学を学んでも意味がないのか?」という疑問について、現在、国立大学院で心理学を専攻している僕がお答えします。
いきなり結論ですが、心理学は大いに学ぶ価値ありです。
理由は自分の心の理解、他人の心の理解に役立つからです。
また、ストレス関連の病気が現代では増えていますが、心理学を学ぶことで予防することができるからです。
このあたりのことは後ほど詳しく解説します。
まずはなぜ心理学を学んでも意味がないと主張する人たちがいるのか?
この辺りのことを考えてみましょう。
心理学を学んでも意味がないと主張する人たち
ネットで記事を見ていると、心理学を学んでも意味がないという人たちの主張は、以下の2つにまとめることができます。
・心理学を学んでも人の心は読めないから
・心理学を学んでも心理職に就けるのはごく一部の人だから
順に考えてみましょう。
心理学を学んでも意味がないと考える1つ目の理由は「心理学を学んでも人の心は読めないから」ですね。
残念ながらこれは本当のことです。
僕も↓の記事で「なぜ心理学を学んでも人の心を読めないのか?」解説していますので、興味がある方は見てみてください(読んだら戻ってきてくださいね)。
【記事】心理学とは?「成り立ち」「種類」「心理学で心は読めるか?」解説
ただ、フォローしておくと人の心が読めると思って心理学を学ぼうとするのは、そもそも間違っていたりします。
心理学は本来、数学や医学などと同じく学問の一つです。
心理学で人の心を読むというものに近いのはアセスメントと呼ばれる専門技術ですが、これは臨床心理士など臨床心理学の専門家が行う高度な技術で、大学院レベルの心理学の知識が求められます。
一般に出回っている心理読み物には、「目線で相手の心を読む!」「まばたきが増えたら嘘のサイン!」などよく書かれていますが、そのような内容と専門家が行うアセスメントは全く別次元のものです。
そのため、心理読み物の内容を心理学だと誤解して大学に行った人は、心理学は小難しくて役に立たないものだと感じることでしょう。
しかし、それは心理学を誤解していることから生じている考え方です。
最初から心理学も数学や医学と同じ専門的な内容を学ぶものだとわかっていればこのような誤解は生じないと思います。
心理学を学んでも意味がないと考える2つ目の理由は、「心理学を学んでも心理職に就けるのはごく一部の人だから」ですね。
これも残念ながら本当のことです。
たとえ心理学を大学で学んだとしても、心理学を専門とする仕事につけるかというと難しいのが実情です。
そのため、心理学を専門にしようとする人は大学院に進むのが基本になります。
しかし、大学院の試験は心理学の専門知識を問う問題、英語論文を読みとく問題、研究計画の提出、面接などそれなりに難関で倍率が高いものです。
そのため、大学までは心理学を学んだけれど、その後、一般企業に就職する人も多いです。
これらのことを総合すると「心理学を学んでも心理職に就けるのはごく一部」という主張は正しいといえます。
ですが、直接仕事につながらないから心理学は学んでも意味がないというのは少々言い過ぎのように思えますね。
次は心理学の専門職でなくても心理学は役に立つのか?という視点で考えてみましょう。
心理学は学ぶ価値ありか?
心理学という学問が心理学職にとって不可欠だということは言うまでもないことです。
しかし、「心理職以外の人にも役に立つのか?」という疑問が残りますね。
長くなりましたが、ここが最初にお伝えした以下の結論の説明になります。
いきなり結論ですが、心理学は大いに学ぶ価値ありです。理由は自分の心の理解、他人の心の理解に役立つからです。
また、ストレス関連の病気が現代では増えていますが、心理学を学ぶことで予防することができるからです。
僕は心理学の専門家以外の人にも心理学は役に立つ、意味があるものだと思っています。
その理由はお伝えしたとおり以下の2つです。
・心の理解ができること
・心の病の予防に使える
まず、心理学を学ぶと人間の心を科学的に理解することができます。
私たちは自分の心がどうなっているかに関心がありますが、そのメカニズムはよくわかっていません。
自分の心がどういう動きをしているのか?これを学問的に学ぶだけでも価値あることです。
自分をよく知るということにつながるからですね。
自分をよく理解できていれば、強みを生かしたり、弱みをケアしたり、性格に合った職業を選んだりなど人生のあらゆる面で有利になります。
次に、心理学を学ぶと心の病の予防を行えます。ストレス関連の疾患は近年増加しており、うつ病は社会問題となっています。
誰しもが心の病に罹患するリスクを持っていると考えてよいでしょう。
臨床心理学をはじめ心理学では、心の病についての研究が日々行われています。その最新の成果を得ることができるので、心理学を学ぶことは特にビジネスマンにも非常に役立ちます。
うつ病は自殺につながる病ですから、自分の命や他人の命を守ることにもつながります。家族など大切な人の心の異変に気付いて適切な機関につなぐこともできるでしょう。
以上のことを踏まえると、心理学を学ぶことは一般の人にとっても大いに役立ちます。とはいえ、心理学の領域が広すぎて何から学べば良いかわからないという方もいると思います。
そのあたりは↓の記事にまとめていますので参考にしてみてください。