【愛着の心理学】ボウルビィの愛着理論と愛着障害とは?

[word_balloon id=”2″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” name=”生徒” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true”]愛着ってなんだろう?
愛着形成に失敗するとどんな問題が起きるのかな?[/word_balloon]

こういった疑問にお答えします。

愛着とは?

愛着とは心理学者ボウルビィが提唱した概念で、重要な他者との情緒的な結びつきや絆のことです。

重要な他者とは母親をはじめとした養育者のことです。この愛着についての様々な理論のことを愛着理論と呼びます。

この記事では、「ホスピタリズム」「マターナルディプリベーション」「愛着障害」に絞ってお伝えします。

ホスピタリズム

ホスピタリズムは施設症と呼ばれる症状のことで、施設で育った子どもたちに見られるものです。1900年代から親が不在などで施設に預けられた子どもの、長期的な母性剥奪による影響が研究されていました。

少し専門的になったのでかみくだいておくと、親の死などにより施設に預けられた子どもを対象とした研究がなされていたということです。

施設に預けられた子どもといっても、この時代の施設の子どもは多くが戦争孤児でした。そのため、母親がおらず、そのことが子どもの成長に大きな問題を与えると考えられていたのです(実際そうなのですが)。

このような状況の中で特に有名になったのが、1951年のボウルビィの研究『乳幼児の精神衛生』でした。この研究の中でボウルビィはホスピタリズムの主要な症状として、①対人面での性格的偏り、②反社会的行動、③知能の発達の遅れなどを指摘しました。

そして、これらはマターナルディプリベーションによるものであると結論づけました。

マターナルディプリベーション

マターナルディプリベーションとは、母性剥奪のことです。
母性剥奪とは子どもが母親からの愛情を得られない状況のことです。

ボウルビィによってこのような状況が子どもの養育にいかに問題であるかが指摘され、母性剥奪の影響を最小限にするために養子縁組など養育形態の改良が行われました。これらの改良の提案もボウルビィによって行われたと言われています。

マターナルディプリベーションはわかりやすく、当時の発達心理学に大きく影響を与えた概念でした。しかし、母親が養育すべきだという社会的論調を強めたこと、自閉症などの発達障害も母親が悪いという誤解を招きました。

ちなみにこれらの点については、その後のラターらの研究によって、養育者が不在であることが問題なのであり、母親でなければならないというエビデンスはないことが示されています。

愛着障害

愛着障害は児童虐待を受けた子どもなどにみられる障害です。虐待など愛着形成が阻害されるような環境で育ったことが原因であるとされています。

精神疾患の診断基準であるDSM-5では愛着障害は反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害に分けられています。細かく言うと、共に心的外傷およびストレス障害群に含まれています。

簡単に解説すると、反応性アタッチメント障害の子どもは大人の養育者に対して最小限にしか愛着行動を見せません。一方、脱抑制型対人交流障害の子どもは見慣れない大人に積極的に近づき、交流します。

虐待の後遺症として愛着障害が見られることも多く、児童虐待の深刻さを示す障害でもあります。いずれにせよ愛着がいかに重要であるかがわかっていただけると思います。

 

というわけで、今回は以上です。

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