心理学者とは?心理学者になるには?歴代の有名心理学者5名も紹介

[word_balloon id=”2″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true”]心理学者って何する人なんだろう?どうやったらなれるんだろう?
有名な心理学者ってどんな人がいるのかな?教えてくださいな。[/word_balloon]

こういった疑問にお答えします。

この記事を書いている僕は、国立大学院で心理学を専攻しています。
ブログ・Youtube・セミナーなどでの情報発信は3年ほどです。

心理学者とは?

心理学者とは学問的に心理学を研究する職業です。

心理学者に限らず学者の仕事は研究が中心であり、大学での講義、本の執筆、テレビに有識者として出演するなどの仕事があります。

心理学者特有の仕事としては、カウンセリングがあります。

特に臨床心理学者は学者であっても病院の精神科や学校などでカウンセリングを行います。

これは「科学者ー実践モデル」という心理学のモデルに基づいています。科学者であり、現場の人間であるということが重要だとされているのです。

心理学者になるには?

大学卒業後、大学院で研究を進めて修士号・博士号を取得することで心理学者になれます。
心理学者になるまでの基本の流れは以下になります。

・大学4年間→修士課程2年間→博士課程3年間

しかし、実際には博士課程を3年で終えられる人はほとんどいません。多くの人が4年=5年在籍することになります。

これは博士論文が書けないからですね。

ざっくり言うと、修士論文が大学の卒業論文2本分、博士課程は修士論文4本分というイメージです。博士論文がいかに膨大な量になるかわかると思います。

また、注意点としては博士号を取得しても必ず学者になれるわけではありません。大学に就職するためにはそれなりの業績やコネがいります。

ちなみに僕の知り合いの心理学者に尋ねてみたところ、研究が好きだから楽しいし収入も安定していると言っていました。

実は心理学の専門家は非常勤で働いていることが多いです。

この知り合いの心理学者も非常勤で心理士として働いていました。いずれにせよ心理学者になって大学に勤務すると、収入が安定するので心理学の専門家にとっては目指す職の1つです。

有名な心理学者は?

心理学者といっても数えられないほとたくさんいます。
そこで、有名な心理学者を厳選して5名紹介します。

紹介する心理学者は以下の5名です。
どの学者も世界的に有名な学者です。

・ヴント
・フロイト
・ロジャース
・ベック
・M. エリクソン

ヴント

心理学の始まりは、1879年ヴントがドイツのライプツィヒ大学に実験心理学研究所を設置したことにあるとされています。

ヴントは精神物理学の影響を受けて、哲学から心理学を独立させた人物です。
精神物理学とは心と身体の関係を科学的に観察しようとする学問で、物理学者のフェヒナーが創始しました。

この精神物理学の影響を受けたヴントは、当時哲学の一部であった心理学を独立した科学にしようと考えました。

ヴントは、意識を感覚・感情といった要素に分解可能であると考えました。研究室にこもって感覚や感情を報告させる内観法を用いて、意識を構成する要素の目録づくりを目指しました。

そのため、ヴントの心理学は要素主義と呼ばれます。
ヴントは心理学の創始者ということで、とても有名な心理学者です。

フロイト

精神分析の創始者であり、現代の精神医学・心理学の礎を築いた学者です。

フロイトは精神分析を「抑圧された心的なものを意識化する仕事」と定義しています。

フロイトは人の無意識に注目しました。彼は意識は氷山の一角であると主張し、表面に出ている意識の下に膨大な無意識の領域があると考えました。

また、抑圧という概念を提唱し、葛藤により抑え込まれた無意識が表面化してくることで様々な問題が生じると考えました。

精神分析では自由連想を使って無意識を意識化していきます。自由連想とは心に浮かんだ考えを分析家に報告する技法です。

精神分析の中心となるもうひとつの技法は解釈です。分析家はクライエントの状態や発言から解釈を行い、クライエントは解釈を通じて得られた洞察を通して自分の心の理解を深めていきます。

そのため、精神分析は探索的心理療法と呼ばれる心理療法に分類されます。つまり、心の内面の理解を深めることを目指す心理療法です。

精神分析を通して結果的にクライエントの症状が消失することはありますが、はじめから治療を目的にはしません。

実はフロイトは元々神経科学者でした。

初期の神経科学の発見にはフロイトの名が記載されています。

しかし、彼の時代には現代のように神経科学の研究が進んでいませんでした。この時代に神経科学の発展が望めないと考えたフロイトは、いつか神経科学と心理学が交わる日が来ると考え、心のモデルをつくり提唱したのです。

ロジャース

ロジャースはクライエント中心療法を提唱しました。

クライエント中心療法は人間性心理学に分類される心理療法であり、人間の肯定的な側面を支持しようとする心理療法です。セラピストとクライエントの出会いと人間関係を大切にします。

一般の人たちが抱いているカウンセリングのイメージは、このロジャースが提唱したものです。ロジャースは、カウンセラーの態度として以下の3つを提唱しました。

・無条件の肯定的理解
・自己一致
・共感的理解

これらは現在もカウンセラーが持つべき態度とされており、どのような学派の心理療法を行うにしても基本的な態度として重視されています。

クライエント中心療法では傾聴・共感をキーワードにクライエントが自己一致し、「十分機能した人間」になることを目指します。

自己一致とは理想的自己と経験的自己を一致させることを指します。ロジャースは理想的自己が大きすぎると自己一致できず問題が生じると考えました。

また、「十分機能した人間」とは、自分の問題を自分で解決していくことができる人間を指します。

ロジャースは過去に2度(1982年, 2009年)行われたアメリカ心理学会の「セラピストに影響を与えた人物」調査で2回とも1位を獲得しています。

2位以降にはフロイト、ベック 、エリスなど名だたる人物が続きます。
ロジャースの影響力は、計り知れません。

ベック

認知療法の創始者です。
現在、心理療法の主流は認知行動療法ですが、その創始者の1人がベックです。

ベックは抑うつについて研究し、出来事に対するネガティブな偏った考え方が原因であると考えました。

特に否定的自動思考に注目し、認知の偏りを変容させることを目指す認知療法を開発しました。

ベックの考えたモデルは↓です。

認知療法では主に認知再構成法という技法を行い、考え方の偏りを修正していきます。その際、コラム表を利用し、自分の現在の感情状態をパーセンテージで着出し、合わせてその時自動的に浮かんでくる考えを書き出します。その後、セラピストと共に別の考え方を探っていきます。

コラム表は↓のようなシートです。

この認知療法はうつ病に対して高い効果が示されており、エビデンスのある心理療法として医療現場をはじめとした多くの場所で活用されています。

現在の心理療法の世界は、まさにベックの時代です。
ただ、ベック はエビデンス主義であり、著書の中で、もし自分の心理療法を超えるエビデンスが出てくれば迷いなくそちらを選択するとも言っています。

今後、認知行動療法よりエビデンスレベルの高い心理療法が出てくれば、ベックの言う通りになるのかもしれませんね。

M. エリクソン

ミルトン・エリクソンは、催眠療法の大家であり、現代催眠の創始者です。
当時のアメリカで「エリクソンの元に行って治らなければ何をしても治らない」と言われた伝説のセラピストです。

エリクソンの心理療法は、なんといってもユーティライゼーションを用いた解決志向型アプローチです。ユーティライゼーションは「利用」という意味で、クライエントのリソース(資源)を最大限活用して問題解決を行います。

ある男の子が新築の家に落書きをするということで、エリクソンのもとに連れてこられました。

エリクソンは壁に絵を描く子どもに「君はこんなに立派な絵を描いているのに、お母さんに消されてしまうのはとてももったいないことだと思わないかい?」と尋ね、どうやったら彼の絵を保存できるか考えさせます。そして、結果、男の子は壁に貼った巨大な紙に絵を描き大切に保存するようになりました。

これがエリクソンの技法です。

クライエントはやりたいことを相変わらずやっているわけです。
しかし、問題は解決しています。

エリクソンの心理療法は、その戦略の巧妙さから戦略的アプローチとも呼ばれます。

エリクソンのアプローチは、可能性療法やSFAなどの心理療法に引き継がれて現在も発展を続けています。

個人的には彼を超える心理療法家は、今後出てこないのではないかと感じています。
ミルトン・エリクソンは本物の天才です。

 

というわけで、今回は以上です。

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