【クライシスサイコロジー】新型コロナウイルスと危機対応心理学

生徒
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世界で広がる新型コロナウイルス。
心理学的に適切な対応は?

✔︎本記事の内容

・新型コロナウイルスへの日本政府の対応
・”Psychology of a Crisis” = 危機対応の心理学
・政府がやるべきこと

この記事を書いている僕は、国立大学院で心理学を専攻しています。
ブログ・Youtube・セミナーなど、心理学の情報発信歴は3年ほどです。

新型コロナウイルスへの日本政府の対応

誰もが思っていることですが、今回の新型コロナウイルスへの日本政府の対応はかなりずさんです。
他国が早くから新型コロナウイルスの発症元である中国武漢からの渡航を禁止したのに比べて、日本政府は武漢からの渡航を規制せず日本に新型コロナウイルスが持ち込まれました。

この背景には武漢が大都市であり、中国人がお金を落さなくなったら困るという目先の利益への執着が推測されます。また、ダイヤモンドプリンセスのクルーズ船での対応は国際的に批判されるほど的外れな対応を繰り返し、挙げ句の果てに死者を出しました。

追い討ちをかけるように、乗客を新型コロナウイルスを潜伏させた状態で公共交通機関を利用して帰宅させ、さらに国内感染に拍車をかけました。そして、検査者を減らし、感染者数を少なく見せて国際批判を抑えるため、重症でなければ新型コロナウイルスに罹患しても自宅待機させるというあり得ない基本方針が厚生労働省から示されました。

加えて、人工呼吸器をつけるほどの状態でないと、PCR検査(新型コロナウイルスの検査)を受けさせないと声明を出しています。

僕は政府に対しては中立の立場ですが、今回の新型コロナウイルスの対応については、客観的な情報を集めてもずさんすぎる対応を感じずにはいられません。

正しい情報が示されず、不安で何をしたらいいのかわからないという人も多いことでしょう。
なぜ政府はこんなずさんな状態なのでしょうか?

“Psychology of a Crisis” = 危機対応の心理学

参考までに日本とは反対に新型コロナウイルスの対策が明確になされている米国を考えてみましょう。

米国にはCDCが存在します。
CDCとは米疾病予防管理センターのことです。

CDCは世界的パンデミック(まさに新型コロナウイルス)などの危機的状況下に人々が必要以上パニックにならないように「“Psychology of a Crisis”=危機対応の心理学」というガイドラインを示しています。

“Psychology of a Crisis”は、いわゆるクライシスサイコロジーのガイドラインです。

様々な項目が存在しますが、その中から重要な項目を抜粋して紹介します。

ガイドラインではまず、世界的なパンデミックが流行した場合、人々がどのような感情状態になり、どのような行動を取るのかが示されています。

Common human emotions-left without mitigating response-may lead to negative behaviors that hamper recovery or cause more harm.

(人の感情は、過剰な反応に対応しなければ、回復の妨げになったり更に危害をもたらすような好ましくない行動を取ることに繋がる可能性がある。)

過剰な反応による負の感情にしっかりと対応しなければ、回復を妨げ、更に危害を悪化させる好ましくない行動につながることが示されています。好ましくない行動とは、具体的には以下の通りです。

・Demand for unneeded treatment(不必要な治療を求める)
・Reliance on special relationships(特別な関係に依存する)
・Unreasonable trade and travel restrictions(不必要に商業取引と渡航を制限する)
MUPS-Multiple Unexplained Physical Symptom(複数の医学的に原因不明の身体症状が現れる)

4点目はとても気になるところですね。自分も新型コロナウイルスではないか?と思いすぎることで実際にそのような症状が出る可能性があるということです。過剰な不安感情に適切な対応を取らないと、本当に新型コロナウイルスに罹患していない人も病院に殺到するという事態が生じる可能性を示唆しています。

ガイドラインでは実際にパンデミックなどの危機状態の時に、人々の内面でどのような感情が渦巻くかも示されています。

What Do People Feel Inside When a Disaster Occurs or Looms?
(危機発生時や危機が迫る時において、人が内面で感じること)

・Denial(否認)
・Fear and avoidance(恐怖と回避)
・Hopelessness or Helplessness(絶望感や無力感)
・Vicarious rehearsal(代理リハーサルを行う)
・Seldom panic(時折パニック状態になる)

ガイドラインにはこのような危機的状態の時に国民のパニック状態を防ぐためには、政府による適切な情報伝達が重要だと記載されています。危機的状況の中で政府が情報伝達をする際のポイントは、以下のように示されています。

So How Do We Initially Communicate in a Crisis?
(危機の時にははじめにどのように情報伝達するべきか?)

・Simply(わかりやすく)
・Timely(タイムリーに)
・Accurately(正確に)
・Repeatedly(繰り返し)
・Credibly(確実に)
・Consistently(一貫した情報)

この原則に則った情報伝達を政府が行わないと、国民はパニックになります。

米国は今回の新型コロナウイルスの対応に関しても、“Psychology of a crisis”のこの原則に則って対応しています。

特に上記の項目の内、

・Simply(わかりやすく)
・Timely(タイムリーに)
・Accurately(正確に)

を徹底しているため、現状、国民の混乱を防いでいます。

具体的にはCDCのメソニア局長は即声明を出し、現状の各国データを示し、「米国でもいずれ新型コロナウイルスの継続的な感染が生じる」と警鐘を鳴らしました。また、大統領も含めた米国内での対策チームの活動を紹介しており、結果、現状では新型コロナウイルスを封じ込められていることも伝えています。

これらの情報伝達は上記の3つの条件を踏まえているため、国民のパニック状態を防ぎます。

他にも政府の適切な情報伝達以下の項目が示されています。

Don’t overreaassure
(過度の安心感を与えない)

・Considered controversial by someone.
(過剰に安心させる発表をするべきか否かは賛否両論がある。)

・A high estimate of harm modified downward is much more acceptable to the public than a low estimate of harm modified upward.
(危害を過少に見積もり上方修正するより、過剰見積もりされた危害を下降修正する方が受け入れやすい。)

この項目は何を伝えているかというと、実際の状況よりリスクを低く見積もって安心させようとするなということです。まさにこの逆を日本政府が現在進行形で行っています。

そのため、国民は曖昧な情報しかなく、不安に駆られてパニックになります。

このような危機状態の時、国民の不安を減らすためにすることを与えることが推奨されています。
行動することにより、不安を和らげコントロール感を持たせることができます。

それが次の項目に示されています。

give people things to do Anxiety is reduced by action  and a restored sense of control
人にすることを与える- 行動することによって不安が和らぎコントロール感を取り戻せる。

・Symbolic behaviors
(象徴的な行動(例:ろうそくを灯し徹夜の祈りを行う))

・Preparatory behaviors

(準備行動(例:水や乾電池の購入))

・Contingent “if , then” behaviore

(もしもの事態の時にとる行動(例:家族との緊急連絡の取り方のプランを作る))

実際、CDCは今回の声明で上記項目の3番目

・もしもの事態の時にとる行動(例:家族との緊急連絡の取り方のプランを作る)

を今から始めておいてほしいと国民に伝えています。特に家族と話し合うことを推奨しています。

つまり、私たちが今できることは家族や身近な人たちと、新型コロナウイルスに罹患した際、あるいは予防のために何ができるか話し合うことです。

特に予防については、

・密集した場所にいかない
・手洗いうがいをきちんとする
・一定時間以上人に近づきすぎない

など現在有効だと示されていることを家族で話し合い、それを徹底する行動をとることで不安を低減し、パニックを防ぐことができます。

政府がやるべきこと

最後に政府は何をするべきかについての項目を挙げておきます。

 Allow people the right to feel fear
(人が恐怖心を持つことを認める)

・Don’t pretend they’re not afraid, and don’t tell them they shouldn’t be.

(政府は恐れを感じていないように装うべきでない。国民にも恐怖心を持つべきではないとは伝えてはいけない。)

・Acknowledge the fear, and give contextual information.

(恐怖を認め、文脈情報を提供する。)

やるべきことは隠蔽ではなく、適切な状況の把握と、客観的な情報の提示です。
CDCはすでに新型コロナウイルスをパンデミックと認定し、ガイドラインに則った対策を行っています。

日本の対応は全てが後手に回っています。
政府もただちにCDCの原則に則った適切な対応を行ってください。

目先の利益より長期的な利益を!

参考:https://emergency.cdc.gov/cerc/manual/index.asp

というわけで、今回は以上です。

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