内因性と心因性

精神科の病には謎が多く、いまだに解明されていないものがたくさんあります。
例えば、「うつ病」と一口に言っても、思春期のうつと成人期のうつでは随分と異なります。

思春期のうつはいわゆる仮面うつのケースが多く、心理的な辛さを自分ではあまり自覚していないにもかかわらず、体調が思いっきり悪いということが起こります。

一方、成人期のうつは何に対してもやる気を持てず、後悔の念や罪悪感に苛まれます。

同じ「うつ」でも随分と異なるわけです。

精神疾患に対しては内因性と心因性という言葉が使われます。

内因性の疾患とは原因が脳にあるということです。
一方、心因性とは原因が心にあるということです。

うつ病はこの内因性と心因性を区別するのが難しい疾患の一つです。
見分けるための指標はいくつかありますが、実際には混同が見られるため簡単には区別できません。

ただ指標を示しておくと、内因性のうつはとにかく体調不良が特徴です。
他方、心因性のうつは急に怒り出すなど心理面での問題が目立ちます。

内因性の謎

内因性は遺伝性や素因が関係して原因不明の病気のことを指します。
いわゆる精神疾患とはこの内因性のものと考えられており、原因不明のものを言います。

よくわからないけど脳の中で異常が起きている。
それが精神疾患です。

原因不明なものが精神疾患です。
逆に言えば原因が明確なものは精神疾患ではありません。

身体的問題とでもいうべきものです。

例えば、てんかんという病気があります。
昔は心の病だと考えられていましたが、てんかん特有の棘波という脳波が発見され現在では診断可能な脳の病として扱われています。

てんかんはその診断が可能になり、その原因も特定されたことで「精神疾患→脳の病気」へとシフトしたわけです。

つまり、現在精神疾患として残っている統合失調症やうつ病、パーソナリティ障害などはいまだに原因不明の謎の病だということです。

神経科学と精神疾患

神経科学者は現在原因不明とされている病についてもある程度特定しています。
心理学部などでは原因不明と習うでしょうが、実際はかなりのところまでわかっているものもあります。

例えば、うつ病ではどのような治療法を行っても有効な治療であれば前部帯状回が抑制されます(Carlson,2013)。
統合失調症に関しても、脳室の体積が増加します (Kandel,2014)。

fMRIやPETなど脳機能イメージング法を使えば、多くの場合精神疾患の原因や診断は概ねわかるはずです。

それにもかかわらず神経科学の知見がなかなか精神医療や心理学の分野に取り入れられていないのは、脳機能研究にかかる莫大な費用が原因でしょう。

本当はアセスメントの段階で脳機能イメージング法を使えば、ほぼ正確な診断が行えます。
治療においても特定の部位をリアルタイムで観察すれば、その治療が有効かどうか検証することが可能です。

やはり予算の問題は大きいと感じますが、個人的には手軽に脳機能イメージングによってアセスメント・治療が行える時代になればと思います。

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