【エリスの論理療法】非合理的信念を打ち砕くABCDEモデルとは?

アルバート・エリス

アルバート・エリスという心理療法家がいます。
彼は世界三大療法家と呼ばれる心理療法の大家です。

ちなみにこの「三大」は何によって決まるのかというと、論文の被引用数です。

エリスの心理療法は論理療法と呼ばれます。(専門的には論理情動行動療法(REBT)と呼ばれます)

論理療法は認知行動療法の代表的なものの一つです。

エリスの論理療法は精神分析への疑問と哲学からの影響により生まれました。
特に哲学からの影響は論理療法の中に色濃く見られます。

エリスの論理療法は、カウンセリングなどで使われる正統な心理療法ですが、この論理療法は自分自身で行なっても、実践しやすく効果の高い方法です。

論理療法を身につければ、心のケアを自分で行うことができます。
実際、エリスは個人でできるようなワークシートを書籍の中で紹介しています。

 

論理療法のABC

では、論理療法とはどのような心理療法なのでしょうか?

まずは以下の画像をご覧ください。

青丸で書かれた部分に「A:逆境」「B:信念」「C:結果」と書かれてありますね。
このABCが論理療法の骨格です。

ABCとは「逆境」「信念」「結果」それぞれを英語にした時の頭文字を取ったものです。
このようなABCを扱ったモデルはABC理論と呼ばれています。

ABCの中で最重要なのがBの信念(beliefs)です。
信念は「〇〇しなければならない」という考え方のことで、この信念に反することが生じると私たちはストレスを感じます。

例えば、「東大に受からなければならない」と思っている人が、東大はおろか京大や早稲田・慶応にまで受験で失敗したとしましょう。

そうするとこの現実は「東大に受からなければならない」という信念に反します。

その結果、パニックに陥ったり、うつ病を発症したり、最悪の場合、自殺するなんてことも起きてしまう可能性があります。

ABCを整理すると以下のようになります。

 

A(逆境):東大に落ちた、他の有名大学にも落ちた

B(信念):東大に受からなければならなない

C(結果):パニック・うつ病・自殺

 

問題はこの B の「東大に受からなければならない」という誤った信念にあります。
「〇〇すべきである」という思考です。

ちなみにこのような誤った信念のことを論理療法では非合理的信念(イラッショナル・ビリーフ)と呼びます。
論理療法ではこの非合理的信念に着目して、「〇〇すべきである」を修正するように働きかけます。

 

反論で信念を修正する

さて、問題が非合理的信念にあることは理解していただけたと思います。
しかし、一体、どのように非合理的信念を変えていくのでしょうか?

論理療法では非合理的信念を変えるために「D:反論」を使います。

先ほどの例であれば、「東大に受からなければならない」という非合理的信念が問題の原因をつくり出しているわけです。
そこでこの非合理的信念から浮かんでくる思考(自動思考と言います)に反論を加えます。

 

「東大に受からなければならない理由は?」

 

これに対して反論の反論が返ってきます。

「有名大学に受からないと人生は終わりなんだ!」

 

これに対して反論の反論の反論をします。

「有名大学に受からないと人生が終わる証拠は? 有名大学どころか中卒でも社会で成功している人はいるよね?」

 

そうすると「うっ…」となって反論できません。

 

このように論理戦で自分を制するわけです。

 

そして、パニックやうつ症状、自殺願望(専門的には希死念慮と言います)が低減される結果となります。

これを論理療法では「E:効果」と呼びます。

 

これが論理療法(全て含めてABCDE理論と呼びます)です。

 

非合理的信念とは簡単にいうと筋が通っていない思い込みです。

そのため、非合理的信念をベースに浮かんでくる自動思考は最初から論理戦で勝ち目がないのです。

 

ですから、安心して反論してください。

 

「証拠はあるか?」は無敵の反論術

論理療法の考え方はよくわかったけれど、上手く反論を考えられるか不安だという方もいるでしょう。

「自動思考に負けてしまうのではないか?」と。

 

しかし、ご安心ください。

あなたが覚えておくのは「証拠はあるか?」

この反論だけで十分なのです。

 

先ほどお伝えした通り、私たちを苦しめる非合理的信念は筋が通っていないものです。

つまり、全く証拠のない思い込みだということです。

 

ですから、「証拠はあるか?」と尋ねられると絶対にありません。

仮に失恋して、「この先、誰も自分を好きになってくれる人はいない」という自動思考が浮かんできたとしましょう。

この思考に「証拠はあるか?」と反論すると「世の中にはたくさんの異性がいる」「街コンなど出会いの場はたくさんある」など様々な別の考え方が出てきます。

 

別の考え方が出てきた時点で「〇〇すべきである」は崩れ去るのです。

「証拠はあるか?」という反論はいわば非合理的信念を打ち砕く一撃必殺技なのです。

 

自分が思い悩んでいるなと感じた時は、論理療法を使ってみてください。

非合理的信念を打ち砕き、合理的にすべきことが見えてくるはずです。

 

参考文献

アルバート・エリス(2018). 現実は厳しい でも幸せにはなれる 文響社
A.エリス・R.A.ハーパー(1981). 論理療法-自己説得のサイコセラピィ 川島書店

●一般読者向け

●臨床家向け

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