認知行動療法(CBT)とは?科学的根拠ありベックの認知療法を紹介

先日、マインドクリエイトの中井英史さん・城咲梁さん主催のセミナー「催眠Live in Kyot」にゲスト出演させていただきました。(素晴らしいセミナーですのでぜひチェックしてみてください!)
このイベントの様子は→https://ameblo.jp/saiminjyutusi/entry-12509056050.html
僕は認知行動療法についてお話ししたのですが、思いのほか興味を持ってくださった方が多く、イベント終了後も多くの方から問い合わせをいただきました。
そのため、この記事では認知行動療法について改めてお伝えしたいと思います。
セミナーの模様は中井先生がアップロードしてくださっていますので↓をご覧ください。

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CBTセミナー

認知行動療法(CBT)とは?

認知行動療法(CBT)とは認知に働きかけることで問題を解決しようとする心理療法です。
CBTとはcognitive behavior therapyの略で、新しい世代の心理学である認知心理学をベースにした心理療法です。
うつ病や不安障害に有効とされますが、その他、多くの精神疾患に有効であることが科学的に示されています。
認知行動療法は強く構造化(セッションの回数・やり方などが厳格に決まっている)されており、1週間に1〜2回、15〜25回程度で終結します。また、他の心理療法に比べて指示的(セラピストが〇〇してくださいと指示することが多い)な心理療法です。
治療はセラピストとクライエントが共同で行います。
上記の動画では「別の考え方はないか?(コラム表)」を探るところを共同で行ってもらっています。
元々はベックの認知療法を指して、認知行動療法と呼んでいました。
ちなみに上の動画ではコラム表を使った認知再構成法というものを行なっていますが、これがはベックの認知療法の1つです。
現在ではこの認知療法に加えて、行動療法を組み込みその総称として認知行動療法と呼ばれることが多くなりました。
例えば、上記のコラム表で認知の修正を図った後、アサーショントレーニング(自分の主張をしっかりできるようにするスキルトレーニング)などを組み合わせます。
とはいえ、認知療法は認知行動療法の一種だと思っていただいて問題ありません。
認知行動療法は認知に働きかけることで問題を解決する心理療法だとお伝えしましたが、この認知とは具体的に何を指すのでしょうか?
この点について認知行動療法の代表であるベックの認知療法を取り上げて説明します。

認知モデル

認知行動療法では認知モデルを想定しています。
認知モデルとは人間の心を情報処理システムと捉えるモデルで、人間はある入力を受けると心の中でコンピュータのように情報処理が行われ、その後、出力を行うという図が想定されています。
↓の画像はベックの認知療法が想定しているモデルです。


この図ではストレスが入力(刺激)であり、画像青色の部分が心の中の情報処理、その後、結果(反応)が現れることを表しています。
認知行動療法ではこの青色の部分、つまり、心の中での処理(認知)に対して働きかけを行います。
このようなモデルになったのは、1950年代に起きた認知革命の影響があります。
簡単にいうと、認知革命とは急速に発展したコンピュータサイエンスや言語学と心理学がドッキングしたことを指します。
特に情報処理モデルはコンピュータサイエンス(AI研究)の考え方に強く影響を受けています。
例えば、現在の認知科学では人間の心は関数であると捉えます。
これは関数である心に何を入力するかによって出力が変わるという極めて機械的な考え方を取ります。
実際、人工知能の父と呼ばれるマサチューセッツ工科大学のマーヴィン・ミンスキー博士は「人間は機械である」と言っています。
その他、人工知能の父と言われるいイェール大学のロージャー・シャンク、カーネギーメロン大学のハーヴ・サイモンも人間は機械であるという前提で人工知能研究を行って、その土台をつくりあげました。

ベックの認知療法

ベックの認知療法は先ほどお伝えした認知モデルを前提につくられています。
認知療法では、先ほどの図の自動思考に働きかけます。これは否定的自動思考と呼ばれています。

ベックは過去の体験がスキーマ(信念)を作り出すと考えました。
例えば、受験に失敗した子どもが親から「受験に合格できないやつなんてゴミだ、消えろ!」と言われたとします。
このような体験をすると子どもの中で、「勉強できないやつ=ゴミ」というスキーマが出来上がります。
そして、そのスキーマから自動的に生まれてくる思考が否定的自動思考です。
「勉強ができない自分は生きている価値がない」
「受験に失敗した自分は何をやってもダメだ」
などです。これらはスキーマがあることによる「推論の誤り」から導き出されます。
このような否定的自動思考が生じた結果、うつ病などの精神疾患発症に繋がります。
しかし、本来、勉強ができないこととその人の人間としての価値は何の関係もありません。
この否定的自動思考をコラム表を使って修正するのが、認知再構成法と呼ばれる技法です。

認知再構成法

認知再構成法では↓のようなコラム表を使って、否定的自動思考の修正をはかります。

やり方は以下の手順で行います。(冒頭の動画では手順が映像でわかります)

①最近起きた嫌な出来事を書き出す。(Ex.彼女にフラれた)
②その時感じた気分を0%-100%で書き出します。(Ex.悔しさ80%、悲しさ90%)
③その状況でふと浮かんだ考え(否定的自動思考)を書き出します。(Ex.もう誰も自分を好きにはなってくれない)
④別の考え方はできないか?考えて書き出す。(Ex.世の中に彼女以外にも女性はたくさんいる。街コンなどチャンスはいくらでもある。)
⑤別の考え方を取り入れた場合、②で感じた気持ちは何%になったか書き出す。(Ex.悔しさ50%、悲しさ60%)

このような手順で認知再構成法は行われます。
実際にコラム表に書き出すことで、自分の頭の中を客観的に整理することができます。
私たちが嫌な考えに取り憑かれているいる時、私たちは主観の海に溺れています。
自分で自分を客観的に見ることは難しいですから。

しかし、認知再構成法を行うことで自分が主観の海に溺れていることに気づくことができます。
これが認知行動療法の最大のメリットでしょう。
ぜひ、実践してみてください。

認知行動療法のおすすめ本

『はじめての認知療法』『自信を持てないあなたへ』の2冊は、一般の方でもわかりやすく書かれておりおすすめです。

『認知行動療法実践ガイド』は心理学専攻の学生、専門家向けの良書です。

というわけで、今回は以上です。

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