逆境の心理学者フランクルとロゴセラピーの本質

意味への意志

ヴィクトールフランクルはユダヤ人であり、オーストリアの精神科医でした。
フロイト、アドラーに学び、ウィーン第3学派と呼ばれます。

彼が他の心理学者と大きく違うのはその経験です。
彼はユダヤ人であったことからナチスによってあのアンネと同じアウシュビッツ収容所に収容された経験を持ちます。

フランクル心理学の真髄は「意味への意志」にあります。
フランクルは人生が自分に問いかけている意味を見つけることで問題が解決されると考えました。

彼の思想は実存分析と呼ばれ、これは人生の意味を求め、自己責任で人生を生きるという考え方です。

彼がいう人生の意味とは何でしょうか?

それは神が与えてくれる人生の意味です。
神は私たち人間がこの人生で行うべき使命を知っている。

そして、その神が与えし使命に気付くことで人生は充実し、問題が解決されていくと考えたのです。

フランクルの背景にはキリスト教、神への敬意があります。
この背景は彼の思想に影響を与えたことでしょう。

フランクルの心理学はロゴセラピーと呼ばれます。
最初にお伝えした通り、彼は自分の心理学であるロゴセラピーがある程度完成していた時、ナチスによってアウシュヴィッツに収容されます。

図らずとも自分の心理療法を自分で試さなければならない試練を迎えることになったのです。
彼はこの過酷な試練を見事に乗り越え、生き抜きます。

フランクルの有名な書籍である「夜と霧」の中で、「アウシュビッツでは希望を失った人から死んでいった」と書いています。

この希望とはまさにフランクルがいうところの「人生の意味」です。

神から与えられた人生の意味に気付くこと。

これがフランクル心理学の目指すところです。

実際、フランクルは余命宣告された日本人男性のカウンセリングを行っていて、その映像を見たことがあります。

その時もフランクルはその男性が生き残るためには自分に与えられた使命を発見することが必要であると伝えていました。

 

ロゴセラピーの技法

フランクルの心理療法はロゴセラピーと呼ばれます。

ロゴセラピーの代表技法には「逆説志向」と「反応除去」の2つがあります。

逆説志向とは、例えば、緊張を抑えるためにあえて「緊張しろ」と自分に言うことで緊張を抑える技法です。

なぜこのような方法に効果があるのかと言うと、予期不安を抑えることができるからです。

予期不安とはその名の通り、本人が予想している不安です。

緊張しがちな人は「緊張して失敗したらどうしよう」という予期不安があることにより、「緊張してはいけない」と考え、その考えがさらに不安を高めるという悪循環に陥っています。

この悪循環を精神交互作用と呼びます。

しかし、逆説志向では「緊張したい」と考えることで、予期不安を減らします。

「緊張したい」と考えればたとえ緊張したとしても、それは予期通りであり問題とならないのです。

そのため、逆説志向は高い効果を持つのです。

また、逆説志向の大きな特徴として、本人が無理に「緊張したい」と考えようとしてもその効果があることがわかっています。

つまり、上手くできているか否かに関わらず、逆説志向をしようとすることそのものが効果を持つのです。

もう一つの技法である反省除去とは、価値あることや違う作業に意識を向けることで不安な気持ちなどネガティブなものに対する注意を逸らすことを指します。

 

宗教色の薄さ

ここまでお伝えしてきたことを見ると「フランクルは宗教色が強いのでは?」と思われるでしょう。

しかし、フランクルの本を読むと意外なことに宗教色を感じません。

なぜでしょうか?

理由はわかりませんが、「〇〇の神」みたいに具体的な神が挙げられていないからではないかと思います。

何ならフランクルの著書は神という言葉すらほとんど使用していないイメージです。

フランクルはあくまで精神科医ですから、宗教色の強い心理療法は受け入れられないと考えたのかもしれませんが推測の域を出ません。

 

希望を導く心理学者

フランクルの著書「それでも人生にイエスと言う」はAmazonの死生観の分野で長年ベストセラーになっています。

フランクルのアウシュビッツでの悲惨な体験を経てより洗練された彼の心理学は、人生に迷っている人、逆境状態にある人にとって勇気を与えるものだからでしょう。

冒頭に述べたとおり、やはりフランクルの特殊性は彼の経験にあります。

図らずとも自分の心理学を使ってアウシュビッツを生き延びた彼の心理学は、やはり実践的です。

そのため、フランクルの心理学は効果が高く、世界的に有名になったのでしょう。

僕自身はフランクルのことを「逆境から希望を導く心理学者」だと捉えています。

今の人生に希望を持てない人、死地にある人、フランクルに出会うことでその逆境が一転する可能性があります。

彼もまた死をくぐり抜けてきた一人の人間なのです。

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