この記事では、現代人の多くが悩む自律神経の問題に心理学と整体学という2つの異なった視点から解説してみたいと思います。心理学の専門家で整体師でもあるという人は中々いないと思うので、新しい試みとして見ていただけたらと思います。最後には自律神経をどのように整えていけば良いのか、両者の視点からお伝えしていくのでお楽しみに。

 

自律神経についての神経科学的な理解

心理学と整体学という2つの視点で自律神経について解説する前に、自律神経の一般的理解についてお伝えしておきましょう。
自律神経は神経科学の視点から考えた時、末梢神経に分類されます。

末梢神経には感覚神経・運動神経からなる体性神経と交感神経・副交感神経からなる自律神経の2種類の神経が含まれます。

交感神経は闘う時、あるいは逃避するときに働く神経です。

一方、副交感神経はリラックスしたときに働く神経です。

これら2つの神経を合わせて自律神経と呼ばれます。

自律神経は体温・発汗・呼吸など動物が生きていく上で不可欠な機能の維持を自動的に行っています。

つまり、生体維持を行う神経です。

 

自律神経を中心に生体を一定の状態(恒常性)に保とうとする機能を専門的にはホメオスタシスと呼びます。

私たちはホメオスタシスの働きによって生命維持活動を行っているのです。

ホメオスタシスは物理的な生体の恒常性を維持するものですが、最新の研究ではこのホメオスタシスの働きは、情報空間まで拡張されていることがわかってきています。

これはどういうことかというと、ホメオスタシスという生体システムが身体の安定を保つだけではなく、心の安定を保つ働きまでも担っているということがわかってきたということです。

身体と同じく心も恒常性を持つということですね。

 

さて、ここで物理生体に対するホメオスタシスに話を戻しましょう。

物理生体で活動しているホメオスタシスは自律神経の機能によって支えられています。

そのため、自律神経がバランスを崩すと自律神経が制御している全てのコントロールが異常を起こします。

このように自律神経がバランスを崩した状態は、一般的には自律神経失調症と呼ばれます。

自律神経は交感神経と副交感神経から構成されていると先述しましたが、このどちらかの神経の働きが低下する、あるいは過剰に働くと全体としての自律神経も乱れることになります。

現代人の多くは交感神経が過剰に働いていることがほとんどで、それにより原因不明の不調に苦しんでいる人は多くいます。

この自律神経が狂う原因を「心」に求めるのが心理学の視点、「身体」に求めるのが整体学の視点、というように考えてもらえばわかりやすいと思います。

 

心理学からみた自律神経

まずは心理学からみた自律神経についてお伝えしたいと思います。

心理学的には自律神経の乱れは「心」に原因があると考えます。
「心に原因がある」とはすなわち、ストレスが原因だと考えるということです。

ストレスがかかると交感神経が優位になり、自律神経のバランスが乱れます。
ストレスに反応して、身体を興奮させる中心的な役割を担う部位は扁桃体と呼ばれます。

扁桃体は警報機の役割をしているいうとイメージが湧きやすいと思います。

私たちが何かしらのストレス状態に陥った時、扁桃体はサイレンを鳴らすのです。

このサイレンは一瞬にして、脳全体を乗っ取ります。
この状況を指して、扁桃体ハイジャックと呼ばれます。

不安障害などの不安・恐怖を主訴とする精神疾患にはこの扁桃体の働きが必ず関わってきます。

もっと言えば、いかに過剰に活動した扁桃体の働きを抑えるかが不安障害治療の鍵になります。

扁桃体ハイジャックは何も、精神疾患の方だけの問題ではありません。

実際、私たちも日以上で緊張しすぎて動けなくなるとか不安になってしまうなどの経験をします。

この時、脳内では扁桃体ハイジャックが起きており、正常な思考ができていません。

同時に交感神経が過剰に働き、自律神経はバランスを崩しています。

 

扁桃体ハイジャックを抑え、自律神経を正常に戻すには、心理学的に2つの方法論が考えられます。

一つ目は、扁桃体そのものの体積を減らすこと。

脳科学に神経可塑性という用語があります。

これは「脳神経は変わりうる」ということを意味しており、脳細胞の体積も増えたり減ったりしています。

研究では既に認知行動療法により神経可塑性が生じることが示唆されていたり、マインドフルネスにより扁桃体の体積が減ることが報告されていたりします。

そのため、扁桃体そのものの体積を減らす一つの方法論として、マインドフルネスを行うという方法論をお勧めします。

マインドフルネスには様々な方法論がありますが、シンプルに呼吸に意識を向ける方法をお伝えします。

まず楽な姿勢で座ります。

自分の呼吸に意識を向けてみましょう。

「吸って、吐いて」と呼吸が行われていることがわかるでしょう。

そのことに気づけたら、あとは呼吸に改めて意識を向けましょう。

ここからは「吐いている」に意識を集中させます。

他のことは一切考えず、ただ「息を吐いている」という一つの行為に全ての意識を集中させます。

雑念が浮かんできたら、「〇〇を考えた」とだけ認識し、また「息を吐いている」に意識を戻します。

その繰り返しが、呼吸を用いたマインドフルネス瞑想法です。

 

2つ目の方法は、扁桃体を制御する機能を持つ前頭前野を活動させて扁桃体を抑える方法論です。

マインドフルネスが扁桃体そのものに働きかけるのに対して、この方法では間接的に扁桃体を制御します。

脳は部位によってその機能が決まっています。

そして、部位同士の間にはヒエラルキーがあり、高次な脳の領域は低次な脳の領域に介入可能であることがわかっています。

この原理を利用した脳科学的な扁桃体制御の方法です。

以下の記事に詳しく書いていますのでそちらをご覧ください。

マインドフルネスについても書いています↓

【脳科学】ネガティブ感情から解放される科学的な技術

なおさらに詳しい心理学に関する情報は以下のチャンネルで配信しています。

心理学youtubeチャンネル↓
http://u0u0.net/XpC1

整体学からみた自律神経

さて、次は整体学からみた自律神経についてお伝えしましょう。

整体学から見ると自律神経の不調の原因は身体の歪みにあります。

特に背骨の歪みが自律神経に大きな影響を与えていると考えます。

身体という視点から見たとき、自律神経の重要な分布は以下の場所にあります。

・首

・背骨のきわ

・肩甲骨

・骨盤

どの部位の調整も欠かせませんが、これらの部位の不調は身体のシンメトリー(両側のバランス)が損なわれる原因になり、結果として交感神経優位な自律神経失調症状態の身体になってしまいます。

どの部位が自律神経に最も影響を与えているのかはわかりませんが、背骨の歪みは、首(特に第一頸椎)と骨盤の歪みによって決定されるものであり、背骨だけを調整しようとしても上下の要の部位が正常でないと難しいということは言えると思います。

褐色細胞という自律神経に重要な影響を与える細胞が付近に存在する肩甲骨も骨盤と連動しているため、骨盤の狂いがあると正常位置には戻せません。ただ逆に肩甲骨の歪みが骨盤に影響を与えるとも言え、このあたりは議論が続いているところでもあります。

ちなみに骨が歪むと言ってきましたが事故などの物理的な外傷がない限り厳密には骨は歪みません。

ではなぜ骨が歪んでいるように見えるのかというと、骨に付着している筋肉が伸び縮みして歪んでいるからです。

整体学では骨に直接アプローチするのではなく、骨を歪ませる筋肉に対してアプローチします。

 

自律神経の不調に陥った場合、まずは筋肉のアンバランスを整える下地を作ります。
自律神経失調症状態になると全身の筋肉が固まり、血流の流れが悪くなり、様々な場所が不調になります。

この状態を脱却するためには、特定の筋肉を弛緩させる前に全身運動をして、治療可能な身体の下地を作る必要があります。
簡単に自分でもできる全身運動はウォーキングです。

「なんだウォーキングか」と思われたあなた。

ウォーキングを侮ってはいけません。

ウォーキングで自律神経失調症を完治させた人を知っています。

「人間は歩くために生まれてきた」といわれるように、人間にとって歩くということは生物的本能であり、健康を自動的に維持してくれる最高の薬でもあるのです。

自律神経失調症治療のためのウォーキングにはコツがあります。

それは少し息が切れるくらいのペースで15分〜20分程度の早歩きをするというウォーキングです。

「隣の人と喋れないことはないけど、少し喋ると息が切れるな」というぐらいのペースがベストです。

このウォーキングを半年から1年ぐらい続けた後に、各部位の治療に入っていきます。

ウォーキングにより基礎体力をつけることにより、その後の治療がスムーズにいきます。

自律神経失調症治療については現在はYoutubeのみで情報発信していますのでさらに詳しく知りたい方はご覧ください。

整体Youtubeチャンネル↓

http://u0u0.net/OVt4

 

多角的な視点の勧め

いかがだったでしょうか。

この記事では「自律神経」について心理学・整体学という2つの視点から解説しました。
一つの同じ事象であっても、異なった視点から見るとまた違った理解ができます。

これは僕の運営している櫻会でもお伝えしていることですが、多角的な視点で物事を捉えるというのは、柔軟な思考をつくり、他の人たちとは違った視点で物事を考えることができます。

例えば、櫻会では「心理学」という一つの概念を「心理学」と「脳科学」という2つの視点で捉えるようにしてもらっています。
また、同じ「心理学」でも古くから伝わる経験則に基づいた「実践的な心理学」と大学で研究されているような「学問としての心理学」そして、メンタリズムのような「心理術」に分けて学んでもらっています。

こうすることで多角的な視点を持ってより深く「心理学」を理解し、実践で通用するようにしてほしいという思いからです。

僕自身も常に幅広い領域の知識を仕入れて、多角的な視点を持てるようにしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です